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コラム

今年は4月に入っても寒い日が続きましたが、ようやく暖かくというか、少し汗ばむような陽気になってきました。

私事ですが、3月6日から大阪府収用委員会の委員に選任されました。
 平成18年1月から予備委員に選任されていまして、大阪府収用委員会を被告とする行政訴訟では大阪府収用委員会の代理人として訴訟を担当してきました。
 3月からは正委員として、収用委員会の裁決自体に関与することになりました。

次に今回の更新から、Our Fellowsに加わりました岡本満喜子弁護士を紹介いたします。

岡本弁護士は、平成10年4月に弁護士登録を行い、当事務所(当時、丸橋・三木法法律税務事務所)に入所して弁護士業務を行っていましたが、平成14年4月にいったん弁護士業務を離れ、早稲田大学大学院人間科学部人間科学研究科に入学し、交通工学又は安全工学(このあたりは私にはよく理解できませんので、詳しくはVol.9の彼女のコラムをお読みください)を専攻し、さらにその後任期付き公務員として国土交通省で運輸安全調査官を2年あまり務め、本年から弁護士に復帰したというきわめてユニークな経歴の持ち主です。
 弁護士の業務拡大が言われていますが、まさにこれまでどの弁護士も経験してこなかった領域のパイオニアですので、是非、皆様にご紹介したいと思いました。

さて、それでは本題に戻り、同族会社の相続対策 その2 経営権紛争の予防に入りたいと思います。

1.同族会社(前回と同じく、株式を公開していない会社という意味で使用します)といいましても、その内実は種々様々なものがあります。
 経営権紛争という観点から、大きく次の二つのケース別れると思います。
 (1)は、創業者又はオーナーが一人でほぼすべての株式を保有している場合です。
 (2)は、株式の保有が複数のグループにすでに別れている場合です。
 これには、兄弟で別のグループになっていると考えられる場合と、そもそも親族関係にないグループに分かれている場合がありますが、原則としてグループ間に相続関係が発生しないという意味では同じです。
 (2)のようなケースは、同族会社では多くないと思われますが、私は何社かこのような状態の会社の経営権紛争の相談を受け、複数の訴訟を受任し、ちょうど制度が導入されたばかりの会社分割の方法を使用して最終解決をしたこともあります。
 このような会社では、一方のグループの相続が直接会社の経営権に関する両グループのバランスに影響することはありません。
 もちろん、一方のグループ間の相続紛争で、一部の相続人がもう一つのグループに株式を譲渡し、グループ間のバランスが崩れるということもあります。
 しかし、それは相続による直接の影響ではありませんので、今回のコラムでは、(1)のケースに限定してお話をさせていただきます。

2.それでは、(1)のケースについてです。
 この場合の焦点はオーナーの株式を誰が相続するかですので、単純だと考える方が多いと思われます。
 このような同族会社は比較的小規模な会社が多く、会社資産又は相続財産に占める不動産の割合が多いという傾向があります。
 またオーナーは男性が多く、奥様よりも先に死亡される確率が高いのです。
 そして経営権紛争が起きるということは、複数の子供さんがその会社で働いている、またはその配偶者(たとえば娘婿)が働いているという前提があります。
 このような会社でオーナーが遺言書を作成せずに死亡されますと、子供(その配偶者を含む)はその生活を会社に依拠しているわけですから、経営権を他の兄弟にあっさり譲るわけにはいかず、奥様はその狭間にはさまれ、深刻な事態になることがあります。
 また不動産が会社所有であれば、相続財産としての株式の価値が高いことが多いため、株式を取得する側は相手方に相応の代償金を支払わねばならないことも多く、会社を相続で承継する際に過大な負債を背負いかねません。
 不動産がオーナー個人所有の場合は、現物で分割するのであれば、会社と不動産がそれぞれ別の子供の取得になる可能性もあり、これはこれで将来の紛争の種になります。
 単純に遺言書で株式の帰属を決めても、他の財産の相続との関係や遺留分の問題がありますので、やはり同様の問題は残ります。
 結局は相続税対策での記述と同じで、ケースバイケースで対策を考えるしかないのですが、会社法上の手段として、以下の二つが使用できる場合かを考えてみることをご紹介します。
 まず一つは、現在の会社の業務が複数の独立した会社に分割できるようなものかです。
 たとえば衣料品を扱っている会社であれば、卸を主としながら、小売店も経営していることがあります。小売店でも、業種の全く異なる複数の店舗を経営していることがあります。
 そしてこういった場合、複数の子供さんが会社に勤務しているのであれば、それぞれ卸と小売り、この業種とあの業種といったように、責任範囲を異にしていることがあります。
 そういった場合は、会社分割という制度を利用して、会社をその事業毎に分割します。
 正確には、元の会社から一つの事業が抜けて新会社に引き継がれます。
 旧会社法の概念では会社分割には物的分割、人的分割又は縦の分割、横の分割という二つ分割方法がありました。ここで利用したいのは、人的分割又は横の分割というものです。
この場合は分割で新しく設立した会社の株式の株主構成は元の会社と同じになります。つまり、元の会社のオーナーが新会社のオーナーにもなります。
 そして、遺言書で、元の会社の株式は元の会社に残った事業をみる子供に、新会社の株式は新会社の事業をみる子供に、それぞれ相続させるわけです。
 会社分割、特に横の分割は手続が複雑ですので、会社法の手続に詳しい司法書士が必要です。Our Fellowsでご紹介している足立司法書士はこの方面の経験も豊富で、当事務所も会社分割、合併などの会社法上の組織再編を依頼される場合は、必ず足立司法書士と協力して行っています。依頼者の地理的な関係で、足立司法書士以外の司法書士が関与したこともありましたが、その司法書士はこのような手続になれておらず、結局私が足立司法書士の助言を受けながら、その司法書士に何度か修正の依頼を続けてようやく完成したということもありました。
 もう一つは、会社をわけることができない状態で、かつオーナーとしては会社を承継させたい子供がはっきりしている場合です。
 通常、株式には株主総会での議決権があり、この議決権の多数を握ることが会社の経営権の源泉になっています。
 そこでオーナーは自らの株式を、議決権のある通常の株式と、議決権のない株式に分けるという方法があります。
 すでに発行された株式を議決権なき株式に変更するためには、定款変更その他の複雑な手続が必要であり、事実上、議決権が無くなる株式の株主が同意しない限り実行することはできませんが、オーナーが自らの株式の一部を議決権無き株式にする場合は、事実上手続き上の手間だけになります。
 そして遺言書で、会社を承継させたい子供には議決権のある通常の株式を、会社を承継させたくない子供には議決権無き株式を、それぞれ相続させます。
 この場合、私としては扱いに疑問はありますが、相続税評価としては議決権ある株式と議決権のない株式の評価は同じとされているそうです。
 議決権のない株式を相続した子供さんは、相続税の負担としては議決権のある株式を相続した方と同じとなるわけで、気の毒な気もしますが、こうした方法もあると言うことでご紹介しました。
 なお、種類株などの会社法の制度を相続対策に使用する場合は、会社法と相続を理解できる弁護士の相談されることを強くお勧めします。
 最近も、相続権争いを防止するためと考えてだと思いますが、株主が死亡した場合に、会社がその株式の売り渡しを請求できるという条項を税理士さんのアドバイスで定款変更された会社がありましたが、その条項の存在が逆に現在経営権を有しているグループに不利に働くということがわかって、あわてて是正したということもありました。

丸橋 茂

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