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コラム

あけましておめでとうございます。

当事務所は今春で満20年を迎えます。
  当初は私と三木、それに事務員1名とパート1名の本当に細々とした事務所でした。
  石の上にも3年といいますか、継続は力といいますか、現在は弁護士、税理士、事務スタッフを合計すると12名の事務所になりました。
  これからも同様にゆっくり成長していきたいと思っています。

今回は相続と税金のことについて少しお話ししたいと思います。

平成3年ころまではバブル経済で、特に地価の高騰が激しかったため、不動産をお持ちの方がそろって相続税対策に走られました。
  その中で、多くの方がとられた相続対策に、銀行からの融資を受けて収益物件(賃貸マンションなど)を建築するということがありました。
  これはご自身で相続対策などのマニュアル本などを読まれて、ご自身の判断でされた方もいたでしょうが、ほとんどは銀行、時には建築業者が相続対策に有効として持ち込んだものです。
  なぜ銀行などが持ちかけたかといいますと、融資など、自身の商売をするためです。
  相続税は、簡単に言いますと、資産から負債を控除したものに課税されます。
  建築費用は借金しますので、借金分負債が増えます。
  一方、建物の評価は相続税の評価上現実にかかった建築費用より安く評価されます。
  さらに、収益物件が土地上にありますと、借家権が発生しますので、借家権の評価分、更地に比べて土地の評価が下がります。
  つまり、借金(建築費用)と建物評価の差額分、及び借家権評価分、相続財産が減少し、それで相続税の節税になるわけです。
  これは手持ちの土地ではなく、全額融資で新たな土地を購入した場合も同様の効果があります。

以上が、銀行などが相続税対策として提案する場合の説明です。
  これ自体は間違ってはいませんし、非常に有効な対策に見えます。
  しかしながら、このような相続税対策をとられた方の多くが、その後日非常な後悔をすることになり、それが原因で倒産に至った例も多数あります。
  何が問題だったのでしょうか。

これらの手法は、相続対策といいながら、その中身は借金をしての投資又は事業に他なりません。
 投資又は事業である以上、その事業の採算、事業運営などをあらかじめきちんと検証する必要があります。
  しかしながら、そのような話を持ちかける金融機関や建設会社は、要は融資ができればいい、建設工事を受注できればいい、というわけですから、きちんとした収益算定をしていません。
  私が当時相談を受けた案件では、信託銀行が上記手法の提案をしていたのですが、建築後の収益予定が赤字になっており、信託銀行は税理士を同行してその点に触れずに節税になるということを強調、力説していました。
  それで、私の方から、節税効果があることは認めるが、一時的な節税効果のため、長期的にずっと損失(赤字は損失です)が続くような提案はおかしいだろう。
  節税効果よりも長期的な損失の合計の方がはるかに大きいと指摘しましたところ、信託銀行に同行していた税理士もその通りだと認め、この商談はなくなりました。
  ちなみに収益物件の建築・管理をうたって営業活動をしている大手企業が現在もありますが、少なくとも私がその契約をしても良いかとの相談を受けた二、三件は、いずれも常識ではありえない収益計画を作成して顧客に提示していました。
  借金をしての投資だ、事業だ、と言われれば、投資や事業に意欲、経験のある方を除き、ほとんどの方はそんな話に乗らないでしょう。
  ただ、相続税対策と言われたために、投資の危険性に気づかずに応じてしまったのです。

現在、相続税制の改正が話題にのぼっていますが、少なくとも現在の相続税制、地価をもとにしますと、相続税がかかる方は意外と少ないのです。
  また相続税がかかる場合も、それほど多額の相続税はかからないため、簡単な対策だけで終われる場合がほとんどなのです。
  少数の場合だけ、きちんとした対策をたてなければならないのですが、その対策は実はケースバイケース、それぞれの実情にあわせて考えるものであって、対策本やマニュアル本などにあるような定型的な手法をとればいいというものではありません。
  三木も私も相続税対策を依頼された場合、融資を受けて不動産その他の資産を購入するといった対策はまず考えません(もちろん例外はあります)。
  その方の財産状況などを調査した上、また相続後の希望される状態をお聞きした上、その状況に合わせてとれる対策、そしてなるべくシンプルな対策を考えます。
  複雑な対策であればあるほど、費用もリスクも高く、また将来のトラブルのもとになるからです。
  ここで現実に行った相続税対策の内容をお示しすることはできませんが、たとえばあるケースでは、祖母と孫一人が養子縁組するだけで一次相続、二次相続をあわせると1億円近い節税になったケースもあるのです。
  要はどのポイントを押さえるかが大事なのです。

丸橋 茂

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