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コラム

厳しい暑さが続いた夏がようやく過ぎさり、随分と過ごしやすい気候になってきました。 そろそろ紅葉のシーズンに向けて日帰り旅行の計画でも立てようかなと考えている今日この頃です。

ところで、本年10月から、11年間当事務所に在籍しました本元宏和弁護士が独立し、今春やはり当事務所から独立しました山田敬子弁護士と一緒に共同でさくら北浜法律事務所を運営することになりました。
本元弁護士とは現在も複数の事件を共同で行っていまして、独立後も頻繁に顔を出しています。
 当事務所ともども、今後も本元弁護士に後支援いただければと思います。

 今回は、一津屋香織弁護士から、振込詐欺防止法に関するケースの報告をしてもらうことにしました。
以下からは、一津屋弁護士のコラムになります。



初めてコラムを執筆します弁護士の一津屋香織です。
 私事ではありますが、当事務所に入所してからもう3年の月日が過ぎ、来年1月からは4年目に突入します。周囲の諸先生方からは、「じゃあ、もう一通りのことはできるわけだ。」などと声をかけられることがあるのですが、日々の業務は、その都度新たに学ぶことばかりで、「一通り」という「枠」すら見えていないのが現状です。
依頼者の方々にはご迷惑をおかけするばかりですが、皆さんのお力になれるよう日々邁進する次第です。

ところで、私が約3年間で取り扱った事件の中で、印象的であった事件の1つとして、1人暮らしの高齢者に対する架空社債の詐欺被害事件について少しご紹介いたします。
 私が担当した事案は、種々の事情から明らかに詐欺だと判断できる事案でした。
 明らかな詐欺事件の場合、損害賠償請求訴訟を提訴したとしてもまず相手方が出廷することはありませんので、訴訟を提起すれば、請求自体を認めてもらうことに苦労しない場合は多いかと思います。現に、私が取り扱った事案でも公示送達となりましたし、相手方が出廷することもありませんでした。
 ただ、このような事件の一番の問題は、回収可能性です。つまり、被害にあった金額を回収できなければ、訴訟において勝訴できたとしても、結局は費用倒れになるリスクがあるのです。会社がどのような資産を保有しているかを調査することは容易ではありません。
 相手方のパンフレット等の資料から振込口座などを見つけ、当該金融機関の支店に対して預金債権の差押えなどの強制執行をしてみないとわからないのが通常です。そのため、被害者の方にとって費用をかけて手続きをすることを躊躇されるケースも少なくないと思われます。

その点、この件では、平成20年6月施行の「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」いわゆる「振り込め詐欺救済法」の口座凍結手続きにより、相手方の会社の口座が数件凍結され、一部口座においてかなりの預金が残っていたことが預金保険機構のホームページの公告内容より把握することができたケースでした。
 同法の制度上、口座凍結手続後、預金債権にかかる債権消滅手続開始の公告を行い、公告後60日以内に権利行使の届け出がなければ、預金債権は債権性を失い、申し出た被害者に対して被害額に応じて分配することになります。ただし、消滅までの間は、通常の預金債権ですので、その間に公告を見た他の債権者が預金を差押えるなどして預金債権が回収されてしまうと、預金債権消滅後の配当手続きは行われません。そのため、預金債権が消滅するまでが、一般民事手続きにて差し押さえる最後の機会となり、早い者勝ちとなるわけです(その間に複数の債権者が預金を差し押さえれば、差押手続において配当されることはなります。)。
 そのため、この件では、預金債権を発見した段階で、急遽預金債権の仮差押えを行い、本訴を経て預金債権の回収を行ったのですが、最後まで他の債権者からの差押え等もなかったことから、被害額のほとんどを無事回収することができました。
 このように今回の事案では、振り込め詐欺救済法の公告制度によって被害回復を図ることができました。ただ、高額な預金が残っているケースは希ですし、公告を見た他の被害者との差押えが競合する場合もあるため、全額を無事に回収できたこと自体かなりのレアケースだったのではないかなとも思っています。

このような詐欺被害の事案の場合、回収の点も問題なのですが、1度被害に遭うと被害者の情報が詐欺集団内で流通するため、様々な業者を名乗る人物から勧誘等があるなど再度詐欺犯罪に巻き込まれる可能性が高いことも十分に注意しなければなりません。
 この事案でも、被害後、国民生活センターの職員を名乗る人物から被害者宅に架電があり、「被害報告を受けました。国が被害金を保証することになりました。ただ、今預金口座にお金があると手続き上返還できないから一時的に外貨にするために指示する口座に現金を振り込んでください。」という詐欺未遂が起こり、電話番号を変更するなど対応する必要がありました。
 このように、回収という点では、振り込め詐欺救済法により、口座凍結措置や公告制度を利用した財産確保の可能性は広がったといえますが、やはりこの手の犯罪は、被害を防ぐことが最も有効な手段であるため、家族や親族で連携を取りながら、また不審に思った場合には消費生活センター等に相談し、被害防止に努めることがなにより重要であると実感した事案でもありました。

一津屋 香織

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